入居当時から軋んでいたキッチンの床。。リフォームした離れのゲストルーム(関連記事はこちら)と同じ床材なので、根太に12mmの床材を直貼りしてるであろうことは、容易に想像がつく。
前回のリフォームでも活躍してくれた棟梁が、任期満了で協力隊を卒業し家具製作の事業を立ち上げたので、以前からお願いしていたキッチンリフォームがのびのびに。。泣)なっていたものの、やっと完成いたしました。

宙に浮くキッチン天板
床を直すのがメインだったんです。歩くたびにギシギシ鳴ってて、いつ踏み外すかちょっとドキドキでした。笑。でもね、システムキッチンをそのままにして床だけ直すと、床材の厚み分床の方が高くなるわけですよ。そうでなくてもキッチンて低くて腰痛くなるのに、そのまま古いキッチンを使用する選択肢は限りなく薄く。。どうせ新規にするならってことで探しましたよ!真剣に! でも、これはっと思うものはものすごくお高いし、手頃な値段のものはそれなりだし。。そこでまた、ワクワク考えてしまいました。スッパーンと潔くステンレス天板が宙に浮く仕様です。以前からシンク下収納って湿気がこもってあまり好きではなかったし。空間を有効に使いたかったから脚や前板が邪魔だったし。ということで、絡みのある換気扇の設置位置からコンロの位置を決めオーダー天板を製作することにしました。すっきりとしたヘアライン仕上げです。取り付けは、家具職人の棟梁に頭を捻ってもらいました。
順を追ってご紹介します。

リフォーム前のキッチンです。ごちゃごちゃはしていません。薄いピンクの扉面材が気になるのと水勾配が取れてなくてシンクの手前右端に水が貯まります。経年劣化ですかね。窓面に昭和のキッチンお決まりのパイプ棚が付いていましたが、施工準備のため撤去しています。既存のシステムキッチンは高さ800mm。正面に窓があるためバックガードと窓の隙間の壁に無理くり水栓が設置されています。些細なことですが、この取り付けも改善したいポイント。新規のオーダー天板は、バックガードを窓の高さまで上げてツライチにする予定です。そうすると天板の高さは910mm。天板にベントネックの混合栓を取り付ける予定です。天板高は少し高めですが、これで腰痛の心配は無くなります。笑。
尾鷲ヒノキの床
今回は、既存の床の上から地元尾鷲産のヒノキ材を施工していきます。敷居と床のチリが15mmあったので、12mmのヒノキ材を乗せて丁度良い感じです。

棟梁がサクサクとヒノキ材の床を施工してくれました。シンクの箱を撤去しているのでスッキリです。新規で計画する場合と違い、リフォームは箱裏の背面の状態などシンクを外してみないと分からないので、都度確認しながら使えるもの、補強や交換が必要なものを判断していきます。心配だったシンクの背面は、ベニアがしっかりしているようなのでそのまま腰壁を施工することにします。キッチン天板を宙に浮かせて、天板下はオープンスペースとする予定なので、腰壁には9mmのヒノキ材を立ち上げてもらうことにしました。床から同素材が立ち上がり、腰壁が目立たない仕上がりを目指します。
木製ブラケット
何度も書いてますが、今回はキッチン天板を浮かせたいんです。実は、toolboxでもオーダー天板というアイテムがあり、そこにはキッチン天板用のステンレスのブラケットも開発・販売されています。床の施行中にその商品を棟梁に見せて「方法が無かったらこのブラケットを使う手があるんだよね〜」っと伝えると、現場仕事を終え工場に戻って試行錯誤してくれました。

その成果がこの木製ブラケット! 普通に斜め桟を入れる方法がポピュラーだと思うんですが、左端の天板下には、ご愛用のbrabantiaのペダルビン(分別コミ箱)を置きたいと相変わらずのわがままを付け加えてました。ペダルビンの閉開に干渉しないよう工夫して作ったのがこのブラケット。さすが木工職人です! 右端と背面は、腰壁の立ち上がりを利用して天板を乗せ、重さのあるビルトインコンロ脇と左端の合計2箇所をこの木製ブラケットで支えています。コンロの前壁は100角タイルが貼られているのですが、その見切りの木製枠に10mmのチリがあります。腰板の上に天板を設置すると1mmの誤差もなく、ぴったりとチリに収まりました。こういう収まりが一発で決まると最上の喜びです! 棟梁と2人「おおっ〜〜〜」っと感嘆の声が上がりました。今回、施行中の画像が思いっきり少なくて、完成画像の使い回しで恐縮です。
天井と壁の塗装
床〜腰壁〜ブラケット〜天板の設置までが棟梁の領域。ここからは自力で作業していきます。まずは、美しい床とキッチン天板が汚れないようきっちりと養生をして天井を塗っていきます。天井は昭和の石膏系の化粧板ですので、そのまま塗料を乗せると吸い込みが厳しいと判断しプライマー処理をします。壁は、以前の持ち主さんが1度塗った形跡があるものの、食器棚を移動させるのが大変だったのか、塗った箇所と塗ってない箇所が存在してます。クラックが入ってるところもあったりなのでパテ埋めして一気に塗りあげていきます。

設備入りました
器が丸っと整ったら、いよいよ設備の設置です。まずは、水道屋さんに水栓の取り付けと排水トラップを設置いただき、ついでに古い家故不思議に思っていた山水が機能しているのかを質問。この家は、単独で川からパイプで山水を引き込んでいるものの、ポンプが故障したタイミングで全ての水は、上水道に接続されていることが判明。残念だけど仕方ない。。そしてガズコンロと換気扇の設置はガス屋さん。今回はグリルなしの4つ口コンロを設置しました。ガス屋さんも見たことない器具ということで興味津々。4つ口だとご飯、汁物、主菜、副菜と同時並行で作れて便利なのに、あまり普及していないのね。ついでに換気扇も交換しました。まだ使えてはいたんだけど、全部新規で交換したので、古い換気扇だけ悪目立ちしてしまったので、マットブラックのフラット型レンジフードに交換です。以前のものと同じ機能ですが、吊り戸下に直付けされているため勝手が違うのと、排気口の軒下が狭くてガス屋さん苦労してました。

ワックスがけ
さてさて、そうこうしているうちに棟梁と助手が再び登場! 床をサンディングしてワックスで仕上げます。サンディングで粉が舞い上がるため、キッチンがすっぽり養生されてました。床から腰壁、ブラケットまでワックスで磨き上げていきます。使用したワックスは、ゲストルームをリフォームした時にも使った「未晒し蜜蝋ワックス」。誇るべき地元小川耕太郎∞百合子社の製品です。和歌山は那智の西洋ミツバチの蜜蝋とえごま油で作られた動物にも赤ちゃんにも影響のないナチュラルアイテムです。小さな漁村集落が集まる尾鷲で、こんなサスティナブルなアイテムが世に出されていることに誇りを感じます。余談ですが、嬉しいことにここに集う仲間は1人1人が暮らしの中で自然や環境に配慮する意識の高い人ら〜。みんなでこの素晴らしい環境を守っていこうね。

いよいよ仕上げ

う〜〜ん。ステンレスのピンと立ったエッジがカッコいいですね〜〜。さてさて、すっかり生まれ変わったキッチンをより使いやすくするためにまたまた色々考えました。まず最初は窓際に一枚板で棚を設置。パイプ棚は水切り棚にもなって便利なんだけど、今回のテーマは「見せる収納」なんで、雑多なキッチンアイテムをいかに美しく見せるかも重要なポイント。そのため、棚板は無垢板にしてみました。カウンター下はスカポンに全てが丸見えです。だからこそ、必要なものを必要なところに。。前板がないのでシンクパンが露出してますが、その手前にL字のタオルハンガーを利用してキッチンペーパーホルダーにしてみました。天板の上に置くと邪魔になるし、よくある吊り戸に引っ掛けるタイプは、目線に当たるので美しくないと考えこの位置です。片手で使えて非常に使いやすし。コンロの下の方にいくとお玉やトングが見えますね。ここにもタオルハンガーを設置してスライサーや擂り粉木などキッチンツールをハンギングしてます。うちのキッチンは窓はあるものの壁がないのでシンク下のこの位置にハンギングしたけど結果天板が埃除けになっていい感じです。

シンク下は、既存の木箱や棚、箱を利用してレイアウトしてます。オーブンレンジもコンロ下に収めました。キッチン家電が目立つのはあまり好みでないので、シンク下にコンセントを増設してもらってます。なんやかんやありもので使いやすくレイアウトできたので、新たに購入したのは調味料用のワゴンだけでした。調味料は天板に置くと雑多になるし、キャスター付きのワゴンは大正解です。しかし、カウンター下をオープンにすると引き出しがないのが困りモノ。頂き物のアンティークのLPレコード専用の小引き出しにカトラリーなど細かなものを収納しています。なんとかなるものです。
終わったと思ったら
やった〜〜〜!ついに軋まない床と念願のすっぱーんっと宙に浮くキッチンカウンターが仕上がったぜ〜っと思いきや、次に気になってきたのが吊り戸の面材。1つ前の正面画像の上の方にちらっと写っている面材の光の反射にお気づきでしょうか? あっいやこの記事のずっと頭に戻っていただいてbefore kitchenの画像をご覧いただければ一目瞭然なんですが、これも昭和には多用されていたメラミン材が照明に反射してテカテカしてるわけですよ。めっちゃ人工的に! う〜〜ん。。頭をひねりました。ジブリの「こだま」のようにくるんと頭が回ってしまうくらい考えました。塗装するか。。いやメラミンには塗装は乗らん。。いっそ建て具ごと変えるか。。う〜〜ん大掛かりだな〜〜。。そこで閃きました。和紙を貼ろう!実は、玄関と廊下の天井が化粧合板で薄汚れているのが気になって、以前全面和紙を貼ったことをすっかり失念してました。和紙ならメンラミンにも貼れるし〜。天井と違って縦面は張りやすいのなんのって。出来上がりがこちらです。

調子乗りついでに
キッチンが終わったら、以前からどうしようか考えていた本棚が気になってきました。ほんともう取り止めがない。。いや、実は理由があるにはあるんです。東京のマンションでは、造作で食器棚を作っていたので、2年半前に三重に引っ越してくる時には持ってこれず、この家にあった木目プリント紙貼りのチープな食器棚を仕方なく使ってました。でも、リフォーム後までその食器棚を使う気はさらさらなく、棟梁に食器棚の制作を依頼することにしました。その間の間に合わせに、本棚として使用しているグリット棚を食器棚代わりにしてるんです。すると当然本は床に山積み。。気になるわけです。本棚は、廊下に作りたいと思ってたんです。日が入らないから。日当たりのいいところに本棚を置くと背表紙が日に焼けて退色しちゃうんですよ。そんなわけで勢いで作った本棚がこちら。

基本この家は土壁なんで壁に金具は取り付けられません。柱に棚柱を取り付けたために棚板の長手が1400mmになってしまいました。基本的に棚は900mmピッチが望ましいとされています。さすがにこの長さは本の重みでたわむなぁ〜〜っと思ったので、せめてもの抵抗で棚厚を25mmにしています。設置から2ヶ月が経過しましたが、なんとか持ちこたえてくれています。これからはオープン予定のゲストハウスのプランづくりに追われることになるので、お家DIYはしばらくオアヅケとなります。ゲストハウスとレストランも進み次第情報をアップしていこうと思いますので、しばしお待ちくださいませ。
それでは、hasta luego!